トレーディングカード歴史館


CARD SHOW in USA
-アメリカのカードショー-

1970年代
1970年より以前、アメリカではトレーディングカードは子供のお小遣いで手軽に買えるおもちゃとしての扱いだった。やがてそんな子供たちが大人になり、同じ趣味を持つ仲間とコレクションを共有したいと考えるコレクターが増えていく。当時はパソコンもネットも普及しておらず、仲間を見つける主な手段は、地元の新聞や専門雑誌の三行広告で掲載してもらい、それを見た人からの手紙や電話を待ってやり取りするということだった。
時が経つにつれ、コレクター同士に繋がりがでてくると、小さなホテルの空き部屋やショッピングモールのイベントスペースなどを間借りし、定期的に地方ごとの仲間を集めイベントを開催する(クラブ活動のような)グループが増えてきた。
子供のおもちゃが、後の一大産業への転換期となった時代とも言われる。
当時は専門誌もなく、情報を検索したり確かめたりする環境は整っておらず、
スリーブ、トップローダーといったカード専用の収集用品もない。
だがコレクターの熱は高まり続け、週末だけの地元の集まりがやがて本職となり、
より質(コンディション)のいいカードは価値が高い、という認識が生まれはじめる。
そんな活動がアメリカ各地で広まり、年に1度でいいから、
全国のコレクターが一斉に集まる巨大イベントを作れないか、という動きが出始め、
現在までに40回開催され毎年約4万人の集客がある、"NATIONAL" が誕生する。






1980年代
1980: 記念すべき第1回 The National Sports Collectors Convention "NATIONAL" はロサンゼルス国際空港にほど近い、マリオットホテルの小さなイベントルームで開催された。当初はディーラー、来場者ともに数えられるほどしかいなかった。
趣味・投資としての盛り上がりを見せ始めたスポーツカード・メモラビリアを
全国のコレクターに広め、親交を深めていくため、"NATIONAL" はその後、
毎年夏休みシーズンの約5日間、
アメリカの主要都市が1年おきに持ち回りで開催することになる。



1990年代
スーパースターや若手大物ルーキーの活躍もあり、スポーツコレクターの盛り上がりは90年代に最高潮を迎える。"NATIONAL" は各メジャースポーツの殿堂入り選手をサイン会のゲストとして多数招待したり、歴史的な価値のあるカードやメモラビリアのオークションを開催するなど、順調に成長を続けていた。そして 12回目の開催となった 1991年のアナハイムでの"NATIONAL"は業界の歴史に残る、伝説のショーと呼ばれている。
4日間の総来場者数は現在まで含めても最多となる、のべ94,000人。
サンディ・コーファックス、ハンク・アーロン、スティーブ・カールトン、カール・ヤストレムスキー、ウォーレン・スパーン、カリーム・アブドゥル・ジャバー、バート・スター、ジム・ブラウン、ボビー・ホール。錚々たるスーパースター、殿堂選手の面々がサイン会のゲストで一堂に会した。
特別展示場では、その年 当時としては史上最高額で落札された "T206 Honus Wagner" の実物カードが 所有者であるNHLのスーパースター、ウェイン・グレッツキーとチームオーナーにより展示された(後年、約3億円で取引されたとされるカード)。
また、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、タイ・カッブ、シューレス・ジョー・ジャクソン、サイ・ヤング、ホーナス・ワグナーのユニフォームも飾られていた。
(なお、当時この"NATIONAL"において、合計5千万円相当のカードが
盗難に遭う事件があったという新聞記事も存在する)
※この年の来場者への大抽選会の特賞は 「1952 Topps #311 Mickey Mantle RC」




1990年代
(その2)
全国規模の NATIONAL が勢力を伸ばしていく一方で、ロサンゼルスの東側に位置する小さな街では、とある運送会社の一家により、その後30年以上も続くことになる
カード・メモラビリア・Collectible イベントが立ち上がっていた。

もともとマクドナルドの(ハッピーセット等についてくる)トイを含め、10万点にも及ぶグッズコレクターだった運送会社社長のフランク氏は、マクドナルド主催のチャリティイベントなどに参加し、収益を病に苦しむ子供たちへの寄付金としており、80年代から小規模なフリーマーケットも開催していた。コレクティブル(収集品)の催しを重ねていくうちに様々なコレクターが集うようになり、フランク氏はチャリティとしてだけでなくビジネスとしても成立する可能性を見出していた。
1990年、自社の倉庫(約460平方m)を利用し、定期的にコレクティブルやトレーディングカードを扱ったショーを始める。
順調に成長を続けた Frank &Son ショーは、1997年に以前の倉庫の10倍以上の規模の倉庫へ移転し、アメリカの従来のショーとは全く異なる形式での運営がスタートする。
◆毎週 水曜日のよる
◆毎週 土曜日のひる
"NATIONAL"は年に1度開催、場所も毎回変わる。各地の小さなイベントは不定期。
そんな中、"Frank & Son ショー" は、週2回、必ずそこにある。
トレーディングカード以外にも、フィギュア、ゲーム、アメコミ、ミニカー、人形、ぬいぐるみ、DVDやCD/レコード、絵画、シューズ、Tシャツ、雑誌、骨とう品、小物。コレクターにとって、そこへ行けばなんでも揃う空間。
コレクティブルショーのための倉庫で、それ以外の用途がなく時間外はそのままシャッターが閉まるため、数百にもおよぶブースの多くはテナント契約を結ぶことで会場に商品を置いたままにでき、毎回のブース代という最低限の出費だけで、アメリカで最大級の集客が見込めるショーの出展者というステータスをもつことができた。(テナント契約には審査あり)
1990年代終盤にはアメリカのみならず他の国からも、この小さな街のショー目当てで訪れる客がいるほどの、コレクターにとっての聖地となっていた。


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“People come because they can find what they want to find.”
“Everyone collects something different.”
Frank & Son コレクティブルショー・オーナー -フランク ザマリパ -

2000年代
インターネット、ネットオークションの台頭

2010年代
新しいカードショーへ